Advances in neurodegenerative disease research and therapyに参加して

2018年06月25日 脳神経内科だより

 6月17日~21日に米国コロラド州キーストーンで開催されたAdvances in neurodegenerative disease research and therapy (Keystone symposia) に小野寺 理先生,加藤 泰介先生と共に参加しました.開催地のKeystoneは,山間部に位置し,冬はスキーリゾートとして有名な場所です.このKeystone symposiaは,著明な研究者の講演を間近にきける貴重な機会であるとともに,世界中からアルツハイマー病やパーキンソン病,筋委縮性側索硬化症 (ALS) 及びタウオパチー等神経変性疾患の主に基礎研究に携わる研究者達が集まり,un-publish dataを含めて,自分達の研究成果を積極的にアピールする場となっています.今回の学会を通して,神経変性疾患の病態研究の分野で,最近は炎症やミクログリアとの関連が非常に注目されていることやヒト脳組織を一細胞レベルで解析し,プロファイリングする技術や新しいシークエンス技術が確立し,疾患の機序解明に応用されていることがわかりました.また,ゲノム編集技術を用いた治療や核酸治療に関する報告もみられ,疾患毎ではなく,神経変性疾患に共通した病態の解明,治療アプローチの重要性を感じました.

 私は孤発性ALSの病態研究に関するテーマでポスター発表を行いました.自分の考えを表出することの難しさを感じながらも,様々な背景の研究者達から建設的な意見をもらい,有意義な時間を過ごすことができました.また,最終日には加藤先生が,ゲノム編集技術を利用した歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症 (DRPLA) に対する治療戦略に関して,口頭発表されました.ゲノム編集技術は,大変注目されている分野ということもあり,セッションには多くの参加者が集まり,活発な議論が交わされました.

 今回の学会では,各分野の高名な先生が集うだけでなく,若い研究者達の活躍が非常に目立ちました.その研究内容はもちろん,プレゼンテーションや研究に対する熱意は,大変刺激になりました.学会期間中を通して天候と気候に恵まれ,ロッキー山脈のふもとの広大な土地と青空のもと,アメリカ滞在を楽しむことができたことも今回の渡航の魅力でした.今回の経験を生かせるよう,日々研鑽を積んでいきたいと思います.

 

大学院生 小池 佑佳

 

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