先輩医師からのメッセージ

 

若手医師からのメッセージ

山岸拓磨

 神経内科を志してから,3年目となりました.漠然と神経学には興味がありましたが,自分の手で医学を前に進めたいという思いと,臨床と研究がより密接に感じられたこと(その方がモチベーションになると思いました.),そして,病を抱える患者さんにとって少しでも力になれればという思いからこの道を選びました.

 新潟大学の神経内科には全県・隣県より様々な疾患を抱えた患者さんがいらっしゃいます.希少な疾患のみならず,脳卒中などのcommonな疾患も多く,さまざまな疾患を幅広く経験することができます.

 指導体制としても,経験豊かな指導医の先生とチームを組みながら日々診療にあたり,検討会では各分野を専門とする先生方から意見を頂きながら診療を進めることができます.脳研究所には神経病理部門もあり,月一回の臨床病理検討会,週一回の筋生検・神経生検の検討会も開催され,病理の知識も日常診療の一環として深めていけるチャンスもあります.

 近年は脳梗塞の超急性期治療をはじめ,脳神経内科領域の疾患に新しい治療がどんどん登場しており、これまで以上に脳神経内科医の活躍の場は増えています.一方で,未だ奏功する治療が確立していない疾患も数多くあり,臨床・研究の両面で一緒に力になってくれる仲間を多く必要としている分野でもあります.

 「神経内科は難しい」というイメージをお持ちの方が多いと思います.確かにそうかもしれません.私も神経内科に進むことを考えた際に感じたことでした.3年目となった今でもやっぱり難しいと感じながら,勉強し,悩みながら診療にあたっています.他の同期や後輩の先生の多くもおそらく同様に感じていると思います.ですので,「難しくて自信がないけど,興味がある」という方でも大丈夫です.大歓迎です.ぜひ一緒に勉強しましょう.

荻根沢真也

 新潟大学病院での初期研修を経てこの春に入局いたしました.まだまだ神経内科医としては駆け出しですが,同期のレジデント6人で日々奮闘しています.脳卒中などのcommon diseaseから,変性疾患,免疫疾患など幅広い症例を担当し,改めて神経内科の診療の奥深さを感じているところです.

 新潟大学の神経内科は屋根瓦式の教育方式をとっており,学生,研修医は後期レジデントが指導し,指導医がそれをフォローするという方針となっています。実際に自分も,研修医として新潟大学の神経内科をローテートさせてもらった時には後期レジデントの先生について廻り,沢山の指導をいただきました.神経内科に興味を持ち,新潟大学に入局を考えているならば是非,見学や研修に来ていただければ,指導の熱意を感じられると思います.私たち後期レジデントも皆さんに指導できるように日々研鑽を積んでいます(指導しようとすることもこちらの勉強になります).また,日々真面目に診療をするのはもちろんですが,私たちの代は同期も多く,時にはわいわいやっています.

 神経内科はやりがいが大きい分野です.神経診察,診断に至るまでの思考,診断に至ってからの治療や,そこから先のことなど,毎日の診療で学ぶことが山のようにあります.一生勉強する分野として最高だと思います.まだ自分自身研究をしたことはありませんが未知が多くてきっと研究も楽しいと信じております.ぜひ一緒に神経学を勉強しましょう.

大学院生からのメッセージ

笠原壮

かつて,私は脳神経内科の一患者でありました.主治医の先生方やリハビリテーションの療法士の方がたのご尽力も賜り,私はこうして新潟の脳神経内科医として勤めることができています.現在大学院生として,私の最初の主治医の先生と同じ研究室で仕事をさせていただくに至り,まさに望外のことと感じております.

脳神経内科は,中枢神経から末梢神経や筋,時には一般諸臓器について,血管障害,感染症,免疫疾患,変性疾患など多くの病因による疾患を対象とします.私も多分に漏れず,医学生の際には「病気がたくさんで,勉強するのが大変,難しい」という印象を持っていました.今も感じることです.しかし,それは翻せば専門とする疾患に応じて,1分1秒を争う救急から,慢性療養まで幅広い現場があるということだと思います.修学のために努力が必要なのはもちろんでしょうが,そのような多彩な疾患を対象とするために,どのような方でも活躍の可能性があるのが,科としての大きな特長だと考えます.

新潟は研究,臨床を問わず,すぐれた先輩方が多く,ロールモデルに事欠くことはありません.最後になりますが,このページを見てくださった医学生や研修医の先生方とご一緒に仕事ができることを楽しみにしています.

坪口晋太朗

 私は,地元も出身大学も新潟ではありませんが,ALSの研究がしたいと思い新潟大学に入局しました.ALSの研究をすることが学生時代からの夢でした.

 同じ脳研究所の中には,病理学分野や基礎分野の教室があり,研究の幅が広がります.実際私も今,システム脳病態(上野研究室)にお世話になりながら研究を進めています.

 当科は,やる気と熱意があれば,みな全力でサポートしてくれます.出身,境遇に関係なく,自分の夢を追いかけることができる場所だと思います.

みなさんも私たちと一緒に頑張ってみませんか.

指導医からのメッセージ

河内泉

「患者さんに役立つ研究・診療」を行い, 新潟で神経学を極める

新潟大学脳研究所神経内科の初代教授は椿忠雄先生です. 東京大学から1965年に赴任されました. 全国に先駆け, 新潟の地に神経内科学を根付かせ, 神経内科のエキスパートを数多く育てられました. 開局から50有余年を経た今もなお, 私達, 医局員は椿先生による「問診 日ごろ心にとめている十ヵ条」 (下記参照) を胸に携え, 診療しています. 私が医師になった20年以上前までは, 他科の先生から「神経学はまだ未分化で, 治療法のない診療科だ」と揶揄されたものでした. しかし今や状況が一変しました. 私の専門分野である多発性硬化症では複数の疾患修飾薬が認可され, さらに新たな薬剤開発が進んでいます. 脳梗塞の分野においてもt-PAをはじめとした血栓溶解療法やカテーテルによる血栓除去療法が脚光を浴びています. ようやくいくつかの神経疾患で新たな治療法が開発され, 実際に使われる時代になりました. しかしこのような時代であっても, 椿先生の言葉「問診 日頃心にとめている十ヵ条」が色褪せることはありません. 患者さんの声をよく聴き, 患者さんに寄り添いながら, 患者さんに役立つ研究と患者さんに共感する心を持った診療を行うことが重要です. 新たな発見は患者さんからの言葉がヒントになることもあります. 椿先生以来, 語り継がれ, 受け継がれている「神経学を志す心」, 「神経内科診療の極意」, 「患者さんに役立つ研究を行う体制」が新潟にはあります. 長い伝統のある新潟の地で, 一緒に神経学を極めましょう.

「問診 日ごろ心にとめている十ヵ条」
新潟大学教授・神経内科学
椿 忠雄

一,神経病ほど問診が重要な疾患はないと思う.誇張ではなく,診断の八割くらいはこれで大よその見当がつく.最近,一般内科では検査所見の比重が大きくなっているが,神経内科はむしろ問診と病床側の診察が重要である.

ニ,神経病の問診のなかで最も重要なことは,症状はいつおこったのか,初発症状の部位はどこか,急激におこったのか(何時何分という程急激か,それほどではないか)ではないかと思う.どんなときでもこれをおろそかにしてはいけない.

三,問診が重要なことは,単に診断のためだけではない.これを通して,医師と患者の間に精神的親近感ができることである.大学の外来では,問診は若い医師や学生が行うことがある.これは診察医の時間を節約していただけるのでありがたいが,診察の本質からみて,必ずしも好ましくない場合がある.私はどんなに完全に問診(予診)ができていても,患者に何らかの質問をすることにしている.それはすでに得られている情報であるかのようにみえても,書かれた情報とはちかったものがえられるはずである.

四,問診の場合,医師にとって無意味と思われる患者の供述であっても,ある一定の時間は患者の思っていることを述べてもらう.それは患者に満足を与えるとともに,患者の心のなかにあることがわかる.

五,患者の何が,最も苦しいか分かることが大切である.単に主訴という形式的な言葉ではあらわされないものが大切である.患者は案外病気の本質とは別のことで苦しんでいることがあり,これを取り除くことができる.

六,多数の患者が待っており,診療時間に追われているときに,ごたごたと供述されることは医師にとって困ることがあり,患者の供述を適当なところで止めさせることも必要ではあるが,少なくとも,前述のことは忘れてはいけないと思う.

七,公害や災害事故の問診で,患者の供述は必ずしも事実でないことがある点で,難しい問題がある.この場合でも患者を非難してはいけない.多くの患者は故意に虚偽の供述をしているのではない.私は患者の供述を言葉通りにきき,主観を加えずにその供述を記述することにしている.このようなことで,かえって真実を見いだせることが多い.

八,問診は診察のはじめだけに行うのではなく,診察の途中にも随時会話をして,情報を深めるのがよいと思う.むしろ,それによりほんとうの供述がえられるように思われる.

九,医師が患者に敬意をはらうという態度で問診をすることが望ましい.一般に患者は弱者,医師は強者の立場になりやすいので,詰問口調になりやすい.しかし,よく聞いてあげるということが,その後の診察に大きなプラスになるであろう.

十,神経病の場合,問診は,言語障害,精神症状,知能,意識状態の検査にもなることを忘れてはならない.

金澤雅人

私は20年ほど前,外来・病棟で患者さんと真摯に向き合う神経内科の先生をみて,患者さんからもいろいろ教わり,こういう医者になりたい,神経疾患を克服したいと思い,神経内科にすすみました.神経内科を専門に選んで本当に良かったです.

理由

  • 進歩の過程にあり,それを自分たちが担える
  • 患者さんのニーズがとても高い
  • 患者さんのそばで診察というシンプルな作業で,病気に迫れる

神経診察は苦手,病気についても取っ付きにくいイメージあるかもしれません.しかし,疾患によって,検査は必要なく,ぱっと見て,診断可能な病気があるぐらいです.疾患・病態の理解に関して,自分たちが時間をかけて理解したことを半分以下の労力でわかってもらえるように指導していくのが,先輩の私たちの役目です.これまでの伝統もあり,当科の先輩たちはそういう人たちの集まりです.

やる気と興味がある人,いつでも一緒に学んでいきましょう.

徳武孝允

神経内科を学ぶにあたり,優れた先輩にご指導いただき,新潟の神経内科の伝統に触れ,私は新潟で神経内科を学ぶことを選択しました.新潟大学神経内科は,神経変性疾患,認知症,神経免疫疾患,脳血管障害などさまざまな分野で優れた研究実績を持ち,関連病院も含めて臨床面も優れた先輩方がたくさんおり,神経内科を学ぶのに最適と思います.

神経内科診療の魅力の一つは,問診から得た発症の形式とその後の経過から病態を考え(病態診断),診察所見から解剖学的な病巣を推定し(解剖学的診断),これらを統合することで診断に近づくことができることと思います.神経内科が扱う疾患は,急性疾患から慢性疾患まで幅が広く,脳卒中やてんかん等の救急治療もやりがいがあり,また一方で神経難病を中心とした慢性疾患に対する診療も時間をかけて行うことができます.幅広い疾患領域のなかから自身の希望・ライフスタイルに応じて専門、職場を選ぶことができることも大きな魅力と思います.

皆さんも一緒に新潟で神経内科を学びましょう.

今野卓哉

Mayo Clinic Floridaでの留学体験

私は平成27年3月より,アメリカのフロリダ州ジャクソンビルにあるMayo Clinic,Department of NeurologyのZbigniew K. Wszolek教授のもとに留学しています.今回,留学体験記を書く機会をいただきました.主にこれから留学するであろう医局の後輩や,当医局に関心を抱いている全国の医学生さんたちに向けて書いてみたいと思います. Mayo Clinicは全米有数の総合病院です.ミネソタ州ロチェスターにある本部のMayo Clinicは,U.S. Newsが発表する全米病院ランキングで第一位(2016¬-2017)にランクされました.私が留学しているジャクソンビルは,Neuroscienceの研究が盛んで,日本からの留学生も多く在籍しています.臨床部門,神経病理部門,基礎研究部門が緊密に連携しており,新潟大学脳研究所と似た構造です.私が師事しているWszolek教授は,パーキンソン病をはじめとしたMovement disordersを専門としており,特に遺伝子が関わる家族性の疾患を研究対象としています.SNCA変異やLRRK2変異を有する家族性パーキンソン病や,MAPT変異を有するパーキンソニズムを伴う前頭側頭型認知症(FTDP-17)の家系について,遺伝子が発見される以前より丹念に臨床情報とサンプルを収集され,歴史的な遺伝子発見に貢献してきた実績があります.私は大学院でhereditary diffuse leukoencephalopathy with spheroids (HDLS) の研究をしていましたが,この原因遺伝子であるCSF1Rを発見したのもWszolek教授の研究グループでした.この仕事が契機となりWszolek教授と接点を持つことができ,現在に至っています. 私が新潟を出発した日は,小雪が舞い散る寒い日でしたが,ジャクソンビル空港に降り立つとそこは別世界.強い日差しと高い湿度,ヤシの木が生い茂り,3月というのにすでに夏の様相でした.到着時は家族全員,長い袖丈の上下にマスク姿という冬の新潟では当たり前のいでたちでしたが,ここフロリダでは奇異なアジア人に見えたことでしょう.一瞬にして自分たちが外国人であると認識しました.フロリダ最大都市であるジャクソンビルは人口80万人超と新潟市と同程度で,街自体はほどよく田舎です.高層ビルはダウンタウンに少しあるのみで,高い建築物はほとんどありません.Mayo Clinicのすぐ近くに広がるビーチに初めて行ったときには,その広さに息をのみました.3月から12月くらいまで夏の軽装で過ごせます.新潟の冬を知る者としては,青空のもとリラックスした雰囲気で仕事に臨めるこちらの環境は,格別としか言いようがありません. Wszolek教授は臨床の教授ですので,ご自身のラボは持っていません.そのため,私の留学生活は一般的な基礎研究留学とは異なり,臨床側での仕事が主体となっています.患者さんと会うために正装を義務付けられており,人生で初めて,毎日スーツで出勤しています.Wszolek教授と一緒に患者さんの診察をしたり,研究にご協力いただく患者さんのUPDRSを取ったりと,直接患者さんと触れ合う機会が多くあります.Wszolek教授が20年以上前に報告されたFTDP-17の家系の方が,Wszolek教授を慕って遠方からいまだに外来に通っておられることには驚きました.南米やヨーロッパからも患者さんが訪れます.遠方在住の患者さんを診察するためのfield tripに同伴させていただく貴重な機会もありました.また,Dennis W. Dickson教授が率いる神経病理学部門とはシームレスな関係性があり,時間の許す限りでCPCやbrain cuttingに参加しています. Wszolek教授はとても気さくで,驚くほど面倒をよく見てくださいます.毎朝,私の部屋に顔を出されては,コーヒーを飲みに誘ってくださり,クリニックのお庭を一緒に散歩することから一日が始まります.こちらに来て実感したことは,臨床医は臨床の仕事,病理医は病理の仕事,基礎研究者は基礎研究に専念できる,ということです.言葉にすると当たり前のことですが,日本での仕事環境と比較すると,効率の良さが際立っています.また,各部門が協力して仕事を進めるスタイルがよく機能していて,互いが自分のできることを惜しみなく提供し合い,結果として大きな成果につながっています.国内外の病院や研究機関とのコラボレーションも多く行われており,想像以上に開かれていると感じます.Wszolek教授はこれらの仕事をマネージメントする立場にあり,毎朝コーヒーを飲みながら,教科書には書いていない様々なことを教えてくださいます. 留学生活の一つの醍醐味は,これまで以上に多くの時間を家族と共に過ごせることです.幸いWszolek教授は積極的に学会に参加させてくれますので,家族を連れて学会の地を訪れることが楽しみの一つになっています.アメリカの地で日米の違いを認識し,双方の長所短所が見えてくるのも留学の面白さです.留学をするとアメリカ生活のよさが板について離れがたくなる場合もありますが,私は日本で,新潟の地で,神経内科医として社会貢献したいと変わらず思っています.留学先で感じ,学び得たことを,新潟でどのように活かすかが,帰国後の課題です. 留学は特別な時間です.当然,苦労も数多くありますが,日本では得られないことがたくさんあります.ぜひ医局の若い先生方は留学を一つの目標として頑張ってください.学会等でアメリカを訪れる機会がありましたら,ぜひジャクソンビルにもお立ち寄りください.その際は,くれぐれも軽装かつマスクなしでお願いします.


Wszolek教授

Neurologyの若きレジデントたち

Field trip

ジャクソンビルビーチ

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