International Stroke Conference 2018 at Los Angeles, CA

2018年01月31日 神経内科だより

ロサンゼルスで開催された国際脳卒中会議 2018 (ISC2015)に参加しました.
始めに,参加に際し,期間中いろいろとご面倒おかけしました病棟の先生方に深謝 いたします.
そのお礼もかねて,報告記を記します.
新潟を出たときは,雪で(全国的に),予定を変えて成田に向かいましたが,成田でも飛行機の出発は遅れ,ばたばたでした.到着が遅れ,早く会場に行こうとしたらいくつかトラブルも発生し,大都市L.A. は,恐ろしいと思いました.今回は,2泊5日という強行スケジュールでしたが,ガイドラインも改訂され,大きく時代が変化することを感じられ,短い時間でも参加してよかったです.なお,4月のAANもLAです.なぜ2泊5日という日程になるかは,後述します.

3年前のISC2015, Nashvilleでは,直前のMR CLEANの結果と,大会初日にあわせてNEJMに報告された3つの血管内治療の positive resultで大いに盛り上がり,その後のISCは落ち着いていた.しかし,今回は,直前に発表された,発症6~24時間までの機械的血栓除去(MT)の有効性を示したDAWN trial(ドーンと発音)と,初日にNEJMに掲載された,発症6~16時間までのDEFUSE3(DWI-PWI mismatchとCT perfusion (CTP)から,症例を絞ることで発症16時間までMTの有効性示した)の結果が報告された.どちらも,予想を大いに上回った事で,大変盛り上がっていた.ガイドラインも早急に,大幅に改訂され,時代はおおきく変わった.

今回のISCで発表されたガイドラインでは,これまで治療法がなかったwake up strokeにも発症から24時間まで,症例を選べばMTが適応となったことが大きな違いである(後述).つまり,tPAの適応がなくとも,適当な例はMTを行える病院への搬送も考える必要がある.発症時期不明の脳梗塞に対するtPAの有効性の検証として,THAWS試験や国際共同治験WAKE-UP projectが行われていると考えるが,どうなってしまうのであろうか...本邦のガイドラインもすぐに改訂されるだろう.我々の対応も含めてよく考える必要がある.

時代が大きく変わったことを今回も味わった.急性期の治療はこの20年で大きく変わり,医療の進歩でStrokeの致死率は,年々減少している.その一方で,機能が回復しなかった人の医療費自体は減っていない.治療対象として慢性期のStrokeや変性も含めたvascular dementiaのセッションがとても多くなってきている.今回も今後の方向を考える機会になったことは大きい.
plenary

Plenary day1 初日のAMは,いろいろあり到着が遅れ,参加できなかった.しかし,主体はDAWNの結果とガイドライン改訂であるので,すでにpublicationされている.それを参考にしてください.また,Presidentの話はYoutubeを見てください. https://www.youtube.com/watch?v=u31i_-FQwq0

ガイドライン
ポイントは,MTの適応が24時間までになったこと
 ・ICとM1 occlusionが対象
 ・ASPECT6点以上
 ・DAWNの基準(DWIかCTPで梗塞体積<21mm3 80歳以上 31mm3 80未満など)
 ・DEFUSE3の基準(initialのペナンブラのコアの1.8倍以上など)専用のソフトで評価
  ⇒coreがpenumbraよりも小さいと判断できる時

他,NIHSSの点数などもあるが,すべて満たす例でMTを考慮しても良いとなった.
すなわち,4.5時間を越える例や発症時期が不明で24時間までの例では,小さなコアと判断できる例でMTを考慮する.
tPAは,発症から4.5時間までは変わりなし.

Plenary day 2  
William Feinberg Award EdinburghのJ Wardlawが受賞.
これは,臨床的に大きな仕事をした人が受賞.過去には,tPAの応用としてECASSを主導しているProf Hackeももらっている賞.

 白質のFLAIR高信号(WMH)は,BBB破綻を反映するのかということで,Gd 増強されるのか?一般的に増強されていなくても,sequenceにより変化を捉えられる(Lancet Neurol 2013).WMHの増加は,perivascular spaceの増加に伴う.PVSはamyloid,(tauともいっていた)の老廃物が還流するので,amyloidなどがたまることによるのだろう.喫煙・高血圧に関しては,LADでは65%のリスクであるが,SVDでは2%のリスクにしかならない.SPS3 trial(NEJM)では,厳格な降圧,抗血小板療法では,SVDを予防できないことを示しており,SVDにおいては,喫煙・高血圧はリスクにならない(Wardlaw JCBFM 2017).
WMHは,CBFの低下ではなく(Shi JCBFM2016),SVDは血管の拡張の障害であろう.血管拡張作用を有するcilostazolによる治験を行っている(LACI trial).国循の猪原先生をはじめとするCOMSID trialでも,phase2まで行われ,cilostazolによるvascular MCI/dementiaの予防が示されているが,これも含めて結果が期待される.

COMPASS trial aspirin+rivaroxabanの治験(NEJM2017).心疾患や末梢血管障害では,有効性が示されているが,Strokeの一時予防につながるか?を検討.出血は増やさず,虚血を予防する.特にAfを有する心疾患,末梢血管障害例では,strokeのリスクを50%も下げる.
PRINCE trial ticagrelorを抗血小板薬として用いる(Int J Stroke 2017).Coronaryでは,効果があることが示されている(aspirinとことなり,CYP2C19 genotypeに寄らないから).NIHSS3以下を対象として,aspirin+ticagrelor群とclopidogrel+ticagrelorを3週間投与(CHANCE study同様).結果は,90日後のStroke予防は両群変わりなかったが,LAAだけでは,ticagrelor群のほうが,予防効果があるかもしれない.ただし,minor hemorrhageは増やす.しかし,ticagrelorの効果を示すに当り,比較がclopidogrelと比較してもノイエスが良くわからないような気がする.

Latebreaking session

  • DAWN 血管閉塞のgolden standardはDSAであるが,CTAでもDSAとよく相関.つまり,DSAを行っていなくても,CTAの評価で十分で,CTAでcollateralが見えていなくとも,small coreであることはいえるというサブ解析が報告.
  • Trevo registry world-wide dataの報告.ガイドライン,metaanalysisでは,tPAを投与しても,再灌流を得られなかったときに,血管内治療となるが,本当にnon-tPAでも効果がないのかは皆疑問に思っている点である(元々,ISC 2013 Honolulu で,急性期脳梗塞に対する血管内治療の有効性に関する3つのランダム化試験の negative な結果が報告されたことから,まずはtPAとなっている).デバイスも進歩し,適応症例も厳密な今ではどうかを検討.結果,outcome,safety outcomeどちらも,tPAの有無によらないのが,実臨床の結果であった.
  • Trevo reg.のサブ解析 IC,M1 occlusionに適応があるが,実臨床ではどうかを検討.結果M1 54%のみならず,M2も20%で行われていた.アメリカ,日本はガイドラインに準拠しているが,non-AHA cohortの国では,M2に対してもかなり血管内が行われている結果であった.また,発症から6時間以内,移行でも,outcomeには大きく変わりなく,6hを超えても,出血合併も数%で,問題にならないというデータであった.
  • 軽症Stroke(NIHSS0-5)に対する血管内治療 LADのminor strokeに対する検討.結果MTを行ったほうがいいデータであった.RCTは必要だが,minor strokeでも血管内を考慮すべきと.また,早く患者搬送へ,Google Mapで輸送時間を検討し,どうやったら早く転院できるかも統計学的に検討していた(結果20mile内,32km圏内にMT行える中核を作る).

    血管内治療の話を聞くと,drip and shipの時代になってきた.

  • WEAVE trial MCA狭窄に対するwing span stentingの報告.これまでは,治療後の合併症が高く有効性がなかった(合併症5~10%).今回,stentingでも,72時間までの脳梗塞発症,死亡は6%と予想よりきわめてよく,治療効果が十分期待できるため,FDAが試験を早期に中止させた.

⇒早期に臨床応用されるだろう

  • SB623 trial (Stanford Prof Steinberg)

骨髄由来間葉系幹細胞にNotchを導入して,強化したSB623細胞投与による2年後の結果報告.N=18で,痙攣などあったが重大な副作用なく,全例生存中.European Stroke Scale,NIHSSなどもしっかり改善をみとめ,投与3ヶ月,75%例で臨床的な改善を認めた.poststroke2年で上肢挙上ができなかった例が2.7年後の現在,挙上できるようになっており,拍手喝采であった.14/18例で投与後,一過性にpremotor areaにFLAIR高信号域を認める.可塑性を見ているのではと.PhaseⅡbが始まり,外傷性神経損傷にも応用されつつある.

  • PISCE-2 study (Lancet2016に報告され,結果報告)

Neuronal stem cellにc-mycを導入して,強化した細胞投与1年後の効果.N=23で一例は死亡.Barthal index10点以上の改善は,1年後には30%ほど(ただし,mRSは改善なし).安全性を確認でき,phaseⅡbへ.

⇒mRSをprimary outcomeにしており,効果を見出すのは厳しいと思う.
 気付いたら,Louis Caplan先生が隣に座っていた.有名な先生が近いのもISCの特徴

Plenary day 3 

  • Lobar ICH(Hx)後に抗凝固をすべきか否か

Biffi Ann Neurol 2017 CAA Ptでも抗凝固を行うことで,致死率を下げることを示している.全例で必要とはいえないが,少なくともCMBsが少数な例で,Afを有した場合は抗凝固は必要.RCTできないから,どっちがいいのかはわからないが,会場でも半数以上は抗凝固を行うべきと(ただし,case by case)

  • 梗塞後の嚥下障害に対するpharyngeal stimulation(Int J Stroke 2017).VFでも効果を認め,嚥下機能を改善させる可能性あり.
  • RHAPSODY study Prof Lydenの話.tPAに併用するactivated protein C(APC)で何本かNat Medに出している先生.血管内に保護薬を併用することは皆考えているが,APCを併用するPhaseⅠ試験を行った.安全性は示せた.APCを併用したほうが,出血合併もほぼ抑え(P=0.07),large trialを準備していると.

今回,行きは夕方発の成田便で渡米し,帰りは現地発AM12時,羽田着AM5時便を使った.最終日は,セッションが終わって,早く戻りたかったので,その便を使った.結果として,機上で2泊となるので,2泊5日ということになる.最近は羽田発着便だと,日中仕事をして,出発,帰国も早朝,その後有効に時間が使える便が増えている.このように使うと有効に時間を活用できると思う.
次回は来年2月6-8日に,Hawaii, Honoluluで開催されます.日本から最も行きやすいアメリカです.頑張って演題を出して参加してみましょう.
next_meeting

ページの先頭へ戻る